腸の中にはおよそ1000兆を超える細菌たちが住み着いていて、細菌たちのお花畑(細菌叢)という意味で腸内フローラという言葉が使われております。その中には乳酸菌たちに代表される蘇生型微生物(善玉菌)たちと、大腸菌に代表される崩壊型微生物(悪玉菌)たちがおります。
しかし、およそ70~80%はそのどちらにも属さない、日和見的な微生物(日和見菌)たちが存在しており、日和見菌は、有利な方の味方について行動を起こしていきます。つまり、この日和見菌たちが、善玉菌の味方に付くか、悪玉菌の味方に付くかで状況は大きく変わるのですが、これは単に善玉菌と悪玉菌の勢力争いによってシーソーゲームが行われているわけです。常に善玉菌を有利に持っていくことで、日和見菌をいつも味方につけていくことが、様々な疾患に対して有効であることがわかってきており、世界のお金持ちが医療の研究に莫大な資金を投資しておりますが、大半は腸内細菌の研究になっているんです。なぜこのような研究がこんなに注目を浴びているのでしょうか。
私たちの身体を構成する細胞の数は約60兆、その細胞たちが持っている遺伝子DNAの数は25000弱と言われておりますが、腸の中だけで1000兆、彼らのDNAが1000万以上と言われており、身体全部になると無数の細菌たちと無数のDNAに私たちは取り囲まれていて、彼らのDNAが私たちにどのように働きかけてくるのか、今最先端中の最先端で研究が進んでいるんです。
私たちのDNAの障害部位を彼らのDNAが補ってくれて補完してくるという考え方になってきています。
つまり、私たちの60兆の細胞とたかが25000のDNAでは私たちの運命は決まらない、私たちを取り囲む無数の細菌叢(フローラ)と彼らの無数のDNAによって私たちは右にも左にも変わっていく、そのような考え方が今主流になりつつあるんですよ。
現在は日本の大学でも脳卒中の患者さんの腸内フローラの研究が目覚ましく勧められております。脳卒中後の脳損傷に腸内フローラが大きく関与していることも分かってきているんです。最新の研究では、私たちの持つ感情や性格、ひいては摂食行動も腸内フローラによって変わってくることが分かってきております。「腸は第2の脳」「腸を制せば全てを制す」と言われる時代になってきておりますが、腸内フローラが腸も脳も支配しているのではないかと今は考えられてきております。つまり腸内フローラを味方につけることができれば、腸も脳も制すことができるのではないか?今の医学はそのような方向に世界では向かっているんですよ。
腸内フローラを調べることもできるのですが、腸内環境は自分の便の状態でだいたいわかるもので、調べるために時間とお金をかけるのであれば、腸内フローラを良い状態するために時間とお金を使う方がはるかに得策です。 もちろん、良い食材だけを入れていけば、勝手に善玉菌たちが良くなってきて、僕らの便は母乳の赤ん坊の便に向かっていき、悪い食材が入ると悪玉菌が喜んできて、便は悪臭を放つようになっていきます。便は単なる排泄物ではなく、腸内環境を知らせてくれるバロメーターになっているんですよ。具体的に良くするためのアドバイスを当院では心がけておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。